効率型認知行動療法
(SCBT)とは

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効率型認知行動療法
(SCBT)とは

CBT(認知行動療法)はうつ病や不安症(パニック症、社交不安症など)、心的外傷後ストレス障害、強迫症、不眠症、摂食障害、統合失調症などの多くの精神疾患の症状の改善効果が示されている精神療法・心理療法です。SCBTとは、より短時間で効果的に実施できるCBTの効率型認知行動療法(Streamlined CBT:SCBT)をいいます。

日本ではこれまでにCBTを実施できる専門家が全国規模で育成されてきましたが、精神科においてもまだまだCBTの提供が不十分な現状があります。また、精神科以外の診療科や、地域保健・福祉・産業・教育等領域といった多様な文脈においてもCBTのニーズが高まりつつありますが、精神科以外の方に対する提供がなされていないのが現状です。その原因の一つとして、従来のCBTは実施するための比較的長い時間・期間を要し、実施負担が大きいことが考えられます。
そこでわたしたちは、CBTをより短時間で実施することができるか、短時間で実施しても従来のCBTと同等の効果が得られるかを確認することを目的としたSCBT(効率型認知行動療法:Streamlined CBT:SCBT)を開発しています。

短時間のセッション

SCBTは1回のセッション(CBTの面接)の時間が比較的短いのが特徴の1つです。
セッションの回数や1回のセッションで行うことは従来のCBTとほぼ同様ですが、それぞれの時間配分が異なります。1回のセッションの時間を短くすることで、CBT実施の負担軽減を目指します。

CBTとSCBTのセッション時間の違いCBTとSCBTのセッション時間の違い

セッション外での取り組み
(アクションプラン)の充実

SCBTのもう1つの特徴は、動画や資料を充実させることで、セッション外の時間を有効に活用しながらセッションを進めていく点です。
セッションで話し合ったことを、実生活で実践したり、振り返って考えたりすることをCBTでは「アクションプラン」と呼んでいます。以前は、ホームワークと呼ばれていたものです。アクションプランは、一人一人のクライエント(認知行動療法を受ける人)が回復する上で役に立つ課題で、具体的な内容はセッションでセラピスト(認知行動療法を行う人)と話し合いながら無理がないように決めていきます。

アクションプランは、CBTでも実施するもので、治療と日常をつないで、セッション間をよりよく過ごすために重要な役割を果たします。また、アクションプランに取り組むことがうまくなると、セラピストとのCBTを終えた後にもご自身でCBTを続けていける可能性が高くなり、治療効果を持続することが期待できます。

セッション外での取り組み(アクションプラン)の充実

SCBTでは、何度でも、ご自身の都合に合わせて繰り返し視聴できる動画や資料を用意しています。
こちらを活用することで、セッションの時間だけでなくご自宅で復習したり、学んだスキルを練習したりがしやすくなります。

実際、多くの研究でも、アクションプランを取り組んだ人とそうでない人を比較して治療の進展がよいことが示されています。
1回1回のセッションが短いSCBTでは通常のCBTよりもアクションプランがさらに重要になってきます。
本サイトでは、セッションの復習や話し合ったことを実践するコツなどを、動画や資料にまとめて公開しています。
アクションプランに取り組む上で役立ててください。

本サイトに掲載している動画や資料は、SCBT実施に役立てるために作成されましたが、通常のCBTを実施するときにも活用できるものが多くあります。SCBTに限らず多くの方にご活用いただけたら嬉しいです。
また、動画や資料に関してご質問やご要望などございましたら国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センターまでお問い合わせください。